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2007年10月 5日 (金)

デザートからのメッセージ

インドの豪族(伝聞ではアフリカの王様など)がロンドンに来て女王の食事に招かれた時、フィンガーボウルの水を飲んでしまった。すると女王以下参列者全員が、豪族に恥をかかせまいとボウルの水を飲んだ、という今や伝説となった感さえある逸話がある。

実は、これは間違って伝えられた話で、本当は、女王以下全員がフィンガーボウルの水を使わなかった。この方が、相手のミスに対して無関心という態度になるからである。
全員がフィンガーボウルの水を飲んでしまっては、後から正しいマナーを知ったゲストは、皆さんにマナー違反をさせてしまった事を恥じてしまいます。それよりも、「相手のミスに気付かない」配慮の方がさりげなくてさらに深い思いやりなのです。

果物を食べた後に手を洗う時は、片手ずつ洗う。もちろん指先だけである。なぜフィンガーボウルの中に両手を突っ込んで洗ってはいけないか。ひっくり返す公算が大きいからである。食事が終わってホッとする。隣の人と話をしながら、指先に注意を欠いて、ついボウルから水を溢す・・・
わりとある光景です。

簡単だが案外守られていない事をもうひとつ。冷菓、アイスクリームやシャーベットを食べる時、ウエハースとかチョコレート・スティックなどが付いてくる。これは必ず冷菓と交互に食べること。ウエハースやチョコレート・スティックなどは冷たさを緩和するためにあるからです。

デザートを「食事後のおまけ」などと考えてはいけません。デザートは「後段の料理」なのである。ことにお客様を食事に招いた女性にしてみれば、「最後の腕の見せ所」ですらある。だから、外で作られた料理を出しても、デザートだけは自分で作るのが原則です。日本では逆で、料理は自分で作って、お菓子は外で買ってくるという場合が圧倒的に多い。これはこれでひとつの風習だが、一流のレストランにお招ばれした時や、海外で人の家に招待された時は、デザートまでしっかりお腹に入るように、その日の体調を整えておくのもマナーです。

料理を笑顔で全部食べてくれる事ほど、作った人の喜びはない。食べ手と作り手が対面してこそ、料理は成立する。だから、スープからデザートまで完全に食べてくれた人に対して、作った人は感謝の気持ちで一杯になります。

『素敵なお菓子でした。さぞ、お手をかけたのでしょうね』

海外での食事会の食後に交わされる会話で、よく聞かれるフレーズです。
その一言で、「おばあちゃんから教えてもらった」とか、「我が家の伝統レシピです」など、ストーリーがはじまる。そんな物語を聞いたりすると、家庭で作られた一片のパイにも、その国の、その地方の文化や伝統を感じる事が出来ます。

自然の食材と人間の気持ちが深いところで繋がっていることがわかる。それらを自分のものとして身につけることが「教養」なのだ。

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