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2007年11月21日 (水)

クリストフルの思い出

「クリストフル」は、1830年、宝石商であったシャルル・クリストフルが義兄のジョゼフ・アルベール・ブイエと共に創業し、その後170年以上もの間、常に高品質のシルバーウェアを世界に紹介し続けている。その歴史ある顧客リストは類をみないほどの豪華な顔ぶれといえます。

クリストフルが誕生した背景には、フランスの衣食住に対する文化がある。見事にセッティングされたテーブルには、美しく盛り付けられた美味しい料理、楽しい会話、きれいに並んだカトラリー、まさにこれがフランス文化といっても過言ではありません。フランス国内の主たる機関はもちろんのこと、パリのジョルジュサンク等に代表される有名なホテル、一流レストランでもクリストフル製品は愛用されています。

パリのマキシムのある通り、リュー・ロワイヤルのマドレーヌに向かって右側、サン=トノーレ通りに行くちょっと手前に、クリストフルがあります。

洋銀や純銀の食器が美しく並べられていて見るものを魅了しています。フランスの上流家庭のお嬢さんがお嫁入りする時に、ここで一揃え注文するのが慣わしとか。または、親子3代がリペアをして継承して使い続ける名品とも言われています。エール・フランスのファーストクラスも、オテル・リッツも同じようにこの店に注文しているそうです。

僕は食べる事に興味があったのですが、勉強中でカトラリーの種類など詳しく知らないと言ったら、即席の勉強会宜しく店内を案内してくれて様々な物を出して解説してくれました。

ナイフ・フォーク・スプーンの他に、牡蠣を食べる時のちょっと平たい感じの小さなフォーク、エスカルゴ用の二股のフォークとピンセット、オマール海老用のペンチと先の割れて尖った細長いフォークなど、ありとあらゆる種類を出して手に持たせてくれて教えてくれました。フランス語に「?」という表情を読み取り、英語に切り替えての説明は、ホスピタリティを感じます。助かりました。

デザインにも色々あって、最も現代風(当時)にしてあるオルリーや、アメリカ風の近代的デザインとはいうものの、おとなしいアルビなどから始まって、昔のパリ風というか、20世紀初頭を思い起こさせるクリュニー、ルイ14世風のヴェルサイユ、ヴァンドーム、ルイ15世風のスパトゥールや、マルリー、ポンパドゥール、ルイ16世風のリュバン・クロワゼ、それにペルルなどを見せて教えてくれた。この時は、チンプンカンプンでよく解かっていなかったのですが、この時の経験が後にレストランでのカトラリーを見る目に繋がっているのですから経験は大切です。帝政時代を彷彿とさせるマルメゾンのデザインが好きになったものです。

「とても高価で僕には手が出ません」という僕に、お店のスタッフ(品の良い年配女性)が「丁寧に洗えば、うちでは50年保証なんですよ。機械で洗われると25年ぐらいしか保証出来ませんけどね。何しろ、1ダースのナイフ、フォークに純銀を125gも入れてあるのはクリストフルだけですから」と、ちょっと誇らしげに話してくれた笑顔が印象的です。
多少の傷など、持って来てくれればほぼ完全に元に戻して差し上げます、と言って補修技術の優れている事を付け加えてくれました。

クリストフルが日本に紹介されたのは約30年前。高級レストランやホテルなどで少しづつ浸透していったようです。現在では、一部のレストランで使われ始め、活躍されている若いシェフの中には、いつかは「クリストフル」で揃えたいという人も多いと聞きます。

料理も作る道具と食べる道具の素材が同じでは味気ないのです。
最上の料理は、白銀の輝きが美しく、口当たりも柔らかいシルバーで頂きたいものです。

MEMO
銀は使っていると細かい傷が付いていきます。この傷を気になさる方が多いですが、レストランなどで出されるシルバーのカトラリーを思い出してみて下さい。鈍く光る銀器は、なんとも重みがあります。西欧では、使い込まれ鈍く光る銀を「ムーンシャイン(月の輝き)」と呼ぶそうです。真新しいピカピカのカトラリーはどちらかというと嫌われ、お客様に出す時には使い込まれたように磨き込むのだそうです。

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