すぐれた食文化を次の世代へ
テレビ番組のアドバイザーを務めている関係で、日本人が世界の人々とどの位食生活が豊かかという観点で実態を調べているのですが、一昔前に比べると便利と引き換えに多くのモノを忘れ去ってしまっている現実が見えてきます。
食品の質はどう変化しているのか?
品種の改良や栽培技術の進歩、外国からの輸入などで旬の幅が広がっています。同じ食品であっても、野菜などは味や栄養価に差があります。たとえば夏場のホウレンソウは冬場のものに比べてビタミンCは三分の一、ベータカロテンは70%程度。味もかなり落ちます。
輸入野菜は安価ですが、ブロッコリーは国産ものに比べてビタミンCは80%程度。それでも選択肢が広がるのはいいことです。こうした食品の特徴をよく理解して賢く選択し、味や栄養価がたりない場合は他の食品を組み合わせて補う工夫が大切です。
基本的には旬の露地もののほうがハウスものより味もよく、栄養価も高いが、今は栽培技術が進歩しており、トマトや温州ミカンなどは、ハウスでも質のよいものが出来る。
冷凍ものの魚もきちんと温度管理されたものであれば、味や栄養価に大きな差はなく、食べ比べてみて初めてわかる程度だという。技術の進歩に対応するためには、消費者もそれに見合った知識が必要になる。
技術の進歩による恩恵は素直に受け止めていいと思います。夏においしい温州ミカンが食べられるなんて夢のような話。風味調味料や加工食品も忙しい時には重宝です。ただし、そうした便利な商品に振り回されてはダメ。便宜的に使用するもので、常用するものではありません。食品や健康に対する正しい知識を持ち、主体的に取捨選択して欲しいですね。
伝統的な日本料理の長所を見直し、家庭料理のレベルアップをはかるべきだと思います。グルメとは有名店を食べ歩くことだけではなく、家庭でおいしいものを食べることが大切だと考えます。
日本の食文化は世界に誇れる素晴らしいもの。私たちの祖先が長い年月をかけ、それこそ人体実験を重ねた末に築き上げた貴重な遺産であり、日本の風土、日本人の体質に合った食物なんです。それを次の世代に伝えていくべきです。
イタリアのあるご家庭を訪れたとき、農家の若い主婦が祖母の代からの料理ノートを使っているのを見て感動しました。祖母から母、母から娘へと味が受け継がれていく。残念ながら、日本ではそうした伝統は失われてしまいつつあります。次の世代に伝えるべき味は何なのか。
それを問い直す時期に来ているのではないでしょうか。
フードアナリストが、現代の日本の食事情に貢献できる役割は大きいと感じます。
メディアからも、その役割に大きな期待が寄せられているのです。
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