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2008年3月 3日 (月)

アフタヌーンティー

Photo_2 最近、アフタヌーンティーを頂く機会が多い。昼食を食べ損ねて夕飯も遅くなりそうだというシチュエーションが多いせいかもしれない。

アフタヌーンティーは、英国の数あるティースタイルの中でも最も有名なものです。最近は、日本でもホテルのコーヒーハウスなどでいただけ、日常的なものになりつつあります。

アフタヌーンティーを取る習慣が始まったのは、19世紀後半のことです。アフタヌーンティーは、ベッドフォードの公爵夫人アンナから始まったと言われています。当時夜9時ごろでないといただけなかった夕食までの間、 空腹を満たそうとメイドさんにお茶とバター付きパン、そしてケーキをトレーにのせて運ばせたのが始まりといわれています。その後、彼女はこれを毎日の習慣とし、しばらくは家庭内で一人でお茶の時間として過ごしていました。その後友人を少しずつ招待するようになり、優雅な食器を披露し、歓談しながら飲むようになると、その様子は瞬く間に貴族のあいだに広がっていきました。それは単にお茶やお菓子をいただく時間だけでなく、彼女達の社交の場として定着するようになりました。

しかしながら、アフタヌーンティーが流行していった背景には、いろんな興味深い要因があります。その中で最も重要な点は、どんどん膨らんで行くイギリス産業の発達に伴い、1840年代になると、人々がオフィスに通って働くようになり、今までとは違う生活パターンが生まれたことです。
 食事の時間帯は、以前は朝食の時間帯が朝9時から10時で、トーストとコーヒー、紅茶、又はチョコレートドリンクの軽い朝食だったのが、朝食の時間帯が早くなり、食事内容も充実したお腹に貯まるものになりました。その内容は、温かい、簡単に調理された肉や魚料理、ハムやベーコン、卵料理、肉のパテ、マフィンやトースト、そしてコーヒー又は紅茶の飲み物で、夏には果物も加わりました。昼食は午後1時頃で、朝食の残りで作ったサンドウィッチ、またはスープとパンのように軽い物でした。夕食の時間帯も移動して、それまでは5、6時に取っていたのが、8、9時になり、客を招いた時には10時になることもありました。

このように食事の時間帯が、比較的早い昼食と遅い夕食になってしまったので、昼食と夕食の間の空腹を埋めるものとして、アフタヌーンティーが誕生したのです。

当時はスタイルも時間も厳しい約束事はなく、始まりはだいたい4時ごろだったそうです。
それがヴィクトリア時代後期になると3時半くらいからになり、レースや柔らかな布でできたティーガウンと呼ばれるお茶会用のドレスが流行しました。また陶磁器もこのアフタヌーンティーのためのものがたくさん焼かれ、華麗なスタイルと世界を繰り広げていきました。このお茶会はヴィクトリア時代にはさまざまなマナーやエチケットもそれに合わせて生まれ、最盛期を迎えました。

アフタヌーンティーのスタイルは、上記の様にヴィクトリア時代からの伝統的なスタイルと、現在の英国で多く行われているカジュアルなスタイルとがあります。

どちらが良くてどちらが良くないというものではありません。

日本には茶道にのっとった茶事がありますが、英国のクラッシックなアフタヌーンティーのスタイルは、まさにその茶事に似た所があります。単にテーブルを華やかにセッティングするだけでなく、そこに何か物語があるかのように作る事が大切にされています。上流階級の人達の間では、このアフタヌーンティーの茶会で、どれだけセンスと歴史のある磁器や銀器をきちんと手入れして出せるか、またどれだけの料理やお菓子が用意でき、きちんとサービスできるか、インテリアがどれだけ手入れされ、洗練されたものなのか、などなど、多くのこだわりをもってアフタヌーンティーを迎えます。主催する女主人が主役で、いかに美しく華やかであるか、会話もたけ、話題が豊富か、など、女主人のセンスが求められます。

ここまでくると窮屈な感じがしますが、「A nice cup of tea」といわれるように、この一杯のお茶のには、英国人ならではの精神性と美意識が込められているようにも思えます。

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