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2008年8月23日 (土)

北京オリンピック「光と影」

一昨日の夜、都内某所で北京オリンピックに出場した女子マラソンランナーの土佐礼子さんを見かけた。

今回の北京オリンピックでの結果は、とても残念なものであった。野口選手の不出場や様々な状況下でのプレッシャーや故障箇所を抱えてのスタートなど・・・そして痛みを抱えての激走・・・

そして、リタイア。

世間は厳しい見方をする。心無い論調やコメントも多数見られた。

3月の代表選考レースである、名古屋国際女子マラソンにおける土佐選手の激走を頭から消し去ることが出来ない。31㎞過ぎの上りで田中選手にスパートをかけられ、一時は11秒も差をつけられた。レースを見ていたほとんどの者が、土佐選手の惜敗を予想したはずだ。

世界陸上での銀メダルなど実績はあったものの、相次ぐ故障でしばらく走れない状態が続いていた。名古屋国際女子マラソンは実に1年11カ月ぶりのレースだった。

マスコミも当日までこの名古屋国際のレースを、ほとんど消化レースに近い扱いをしていた。そして見ている人々もそう考えていた感は否めない。内定済みの野口みずき選手、大阪で他の有力選手を抑えて優勝した坂本直子選手、そして、東京国際女子マラソンで本来の力を出し切れなかったものの誰もがその力を認める高橋尚子選手の3人でほぼ決定という空気が漂っていた。

「諦めてたまるか!」と、鈴木監督の気持ちは土佐選手を奮い立たせる。

同じ気持ちでレースに臨んでいた土佐選手は37㎞過ぎに田中選手と並んだ。テレビの音声が土佐のもがき苦しむ声を捉えると、それはゴールまで続いた。

苦しみに苦しんで、もがきにもがいて代表の座を自らの頑張りで勝ち獲ったのだ。

そんなシーンを忘れない。苦しみをたくさん乗り越えた人生の縮図。

足を引きずりながらも友だちと買い物をしていた土佐選手。周囲にはひそひそと冷たい視線もあった。心無い小声も聞こえた。車椅子の女性が土佐選手に握手を求め、涙ぐんで話しかける。笑顔で握手を返し、丁寧に話をしているその姿に、「お疲れ様とありがとう」という言葉しか浮かばない。

人の何倍も苦しい思いを乗り越えたオリンピック出場選手たち。

頑張った結果としてリタイアだった。しかし、土佐選手の頑張った姿勢の価値が何ら下がるものではないと思う。

輝いた夏の一瞬を人々は忘れ去ってしまうだろう。しかし、僕は笑顔で握手する土佐選手のその姿を忘れない。車椅子の女性の涙こそ、彼女が与えた真実の感動だから。

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