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2008年12月13日 (土)

K.u.K.でマイスターの真髄を味わう

日本人唯一のオーストリア国家検定料理マイスター(正式名称 Oesterreichsche Kuechenmeisterpruefung)である神田真吾シェフのオーストリア料理のレストランK.u.K.(カーウントカー)に行って来た。 店名は、皇帝と国王というドイツ語表記の頭文字となっているが、恩人でオーナーの栢沼氏と神田氏自身の頭文字でもある。

オーストリア国家検定料理マイスターという資格試験はドイツ語圏内で実施されており、実務経験が7年以上で、受験資格が一生に一度という難関中の超難関といわれている。試験科目が座学・実技含めて長期間、10科目以上というハードルの高さ。その資格に日本人唯一、西洋人以外で初めて合格したのが神田真吾シェフであり、その名は世界に知られる。

オーストリア料理は、ハプスブルク王朝以来の伝統と高い格式を誇り、今もなおその威光を放っている。

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マイスターのこだわる店内は、石やガラス、鏡を使った気品高くシックな雰囲気。天井のシャンデリアは、ハプスブルク王宮に見られるものと同じロブマイヤー社製だそう。 ウィーンのインペリアルホテルのワインセラーに眠っていたものを譲り受けたという1938年製オスベルガーの物という曰くつきの稀少ワインなども見受けられる。皿は「アウガルテン」グラスは「ロブマイヤー」、カトラリーはベルンドルフ(Berndorf)社のものと食器類もオーストリアにこだわる徹底ぶり。

今回の食事会は、仲間のS君のウィーンのインペリアルホテルで食べた「オマール海老のスープが忘れられない」という一言からはじまった。私自身は、このインペリアルホテルでのスペシャリテを体験した事はないが、ここの出身というシェフが継承したオマール海老のスープを食したことがある。とても印象的で、忘れ得ぬ味わい深さであった記憶から、マイスター神田の修業先であったオーストリアを代表する名スープを作ってもらえないかと相談した。この逸品は、オープン時に一度だけK.u.K.にて再現されたそうだ。マイスター神田は、基本的に一度作った料理を二度出さないというポリシーをお持ちでしたが、今回特別に作って下さるということなったのです。そして、オーストリア国家公認コンディトール(お菓子)マイスター栢沼のカイザーシュマーレンをも別注文してスペシャルな夜の食事となりました。

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オーストリア料理は、一般に経験が少ない料理だと思います。今回は、本当のオーストリア料理の魅力と味わいの深さを体験したく訪れたという訳です。

メニューは・・・

“バインシンケン ウント ロウアーシンケン”
梅山豚の熟成ハムと生ハム

“マリニエルテ エンテンブルスト”
オーストリア産のハチミツでマリネした鴨胸肉のロースト
レーブクーヘンシュニッテと鬼クルミのソース

“フンマーズッペ”
香り高いオマール海老のスープ
メランジュ仕立て 皇帝風

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“ドルシュブルステ ミット シャンパーニャクラウト”
真鱈のソーセージ エストラゴン風味
シャンパーニャクラウトとカルトフェルクヌーデル

“グラナータアプフェルソルベ”
石榴のソルベ

“ゲプラーテネ レーリュッケン”
鹿ロース肉のロースト ブルグンダーソース キルシュ風味
トピナンブールとカルトフェルのグルュステル

“アプフェルクヌーデル”
林檎のクヌーデル マンデルクロカント

“カイザーシュマーレン”
ツヴェッチケンルュスターを添えて

・・・という構成。

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豚肉の中でも幻といわれる梅山豚(めいしゃんとん)という融点の低い旨みの強い肉を熟成して作ったバインシンケン(骨付きモモ肉のハム)は、しっとりと艶かしさがあって、熟成香と旨みがぐぐっと膨らみます。マスタード、メープルシロップ、パセリ、ホースラディッシュなどから作られる特製のソース(甘みと辛みが同じぶんだけ主張)をつけることで、味の奥行きもグッと広がる旨さです。

甘味の中に様々なスパイスを上手に使うことで、食べる部分毎に味わいの変化が楽しめる料理へのメッセージは、マイスターが確かな技術と伝統の継承を守っていればこそ。歴史の奥深さとその完成された料理の技法やマイスターの感性が生み出すピンポイントの見極めを体験します。

今回の目玉ともいえる「オマール海老のスープ」では、思わずテーブルに着く世界中の美食を楽しむ仲間も唸りました。30尾ものオマール海老を使って醸し出される濃厚なエキスの皇帝風スープは黄金色に輝いて、一生心に残る至味との出逢いとなった。本場と同じくお代わりを提供されたが、そのオマールの身が2杯目にも出された点が、マイスター神田のこだわりだと感激。「しみじみ旨い」。これ以上のスープには、そうそうお目にかかれるものではないだろう。

鴨、鹿、真鱈などへの火の通し加減も絶妙で、その正確さは本当に敬服する仕事ぶり。テーブルを囲むうるさ方の笑顔を見れば満足度が判るというもの。付合せへの丁寧な仕事やソースの味やバランスともに、オーストリア料理を改めて素晴らしい料理なのだと素直に感じさせてくれた。

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最後のデザートでは、キュッヘンマイスター神田とコンディトールマイスター栢沼の皿から選べるという贅沢な演出でした。6名で楽しんだ美食の会の締めで、5名がマイスター神田を選択。私だけがマイスター栢沼の皿を選択。世界が認める2人の日本人マイスター「K&K」、つまりドイツ語表記で「K.u.K.」に敬意を表したかったのです。

フレンドリーながら品格のあるサービス、食空間ともに快適で居心地が良い。

都会のビルの谷間にひっそりと、しかし威風堂々と佇むオーストリア菓子&料理の殿堂に、日本人として誇りに思える時間を感じた食事会であった。

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